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論文掲載

クロダイの産卵時刻 / Journal of Fish Biology

チヌの産卵時刻を明らかにした研究論文がJournal of Fish Biologyにて公開されました!

Spawning time of black sea bream Acanthopagrus schlegelii, related to underwater photoperiodism in oyster farms
https://doi.org/10.1111/jfb.15179

【概要】
本研究では、大きく分けて2つの実験を行っています。
1つ目は、クロダイ卵を採集して発生段階を調べることで、その卵が生み出された時刻(産卵時刻)を逆算しました。
2つ目の実験は、この逆算をできるだけ正確にするため、クロダイの受精卵を異なる水温で飼育し、その発生とふ化までにかかる時間を調べました。

クロダイ卵の採集は、広島湾のクロダイの最大産卵場である、大黒神島北部のかき筏周辺で行いました。

10万個以上のクロダイ卵を採集した結果、クロダイの産卵は日没直前の18時台に盛んに産卵していることが判明しました。
飼育下では日没後の21時頃が産卵ピークであるため、自然界とは大きく異なるようです。
また、クロダイの産卵場であるかき養殖場では、垂下連が夕日を遮ることで日没前に水中が暗くなることから、卵が他者に食べられるリスクを減らすためにこの時間に産卵していると考えられます。

クロダイ受精卵を14℃、15℃、16℃、18℃、20℃で飼育した結果、20℃では約41時間半ほどでふ化しましたが、15℃では2倍(約82時間半)もの時間がかかりました。
さらに、16℃—20℃で飼育した受精卵のふ化率は90%以上だったのですが、15℃で飼育した受精卵のふ化率はおよそ半分、14℃ではクロダイ卵はふ化できませんでした。
つまり、産卵期初期などにクロダイ卵が低水温環境へ流されてしまうと、クロダイ卵の生き残りに悪影響を及ぼすと考えられます。

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